ルブタンへの道

ルブタンは履かずに飾る。そんな道楽を目標にユラユラ生きる人生の記録

派手な下着のイメージ

いつだったかなんとなくぼんやり見ていたテレビで話していたこと。


A「うちの奥さんが浮気してきていいよと僕に言う」
一同「ええ!?」
A「うちの奥さんも浮気してると思う。1週間のうち4日ぐらいいない日があるし、下着が派手になってるし・・・」
B「それはもう確実にしてるでしょ、浮気」
一同 うなずく


この会話を聞いて何かに引っかかってテレビに注力してしまった。
Aさんが浮気しようがAさんの奥さんが浮気しようがそれはどうでもいい。
下着が派手になっていることで浮気認定されるのが腑に落ちなかった。
Bさんは下着だけでなく話を総合して浮気判定したんだろうと思うけど、下着が派手っていうところでなんかみんな「あ、それは・・・」って反応したような気がした。
ちゃんと見てないからわからんけど。
別に誰かに見せるために派手な下着をつけてるとは限らんやろ?って思った。
私自身が派手な下着好きだからだ。
いや自分では別に派手とは思っていない。買いに行ったときに「これはちょっと派手すぎて着れない」っていう会話を耳にしたことが数回あったので、「あ、この下着は派手に分類されるのか」という認識になった。ショーツの大半がレースでできているような下着だ。
私がそういう下着を着るきっかけになったのは30歳を過ぎたころのこと。
子供の頃から勝手に「大人になったら、女の人はみんな長く少しウェーブがある黒髪を片方に垂らして多く分けたほうにちょっと傾いてウフっと笑うような人になる」と思い込んでいた。それが25歳なのか30歳なのかはわからないけど、必ずその日がやってくると。
そしてその時にこそ、子供の頃に近寄ってはいけないゾーンと思っていたラグジュアリー感あふれる下着屋さんにも堂々と入れるのだと。


そんなことをすっかり忘れて年月は過ぎ、ふと30歳を過ぎた頃に突然そのことを思い出した。そしてはたと自分を鏡で見て見た。
「まだその時が来てないなぁ」
ああ、でもあの頃にイメージしていた女優さん(たしか佐藤友美さんかな)は40歳ぐらいだったのかなと思いつつ10年後の自分を想像したときにどうにもそうなる気配を感じられなかった。じゃあ50歳?でも50歳になるとちょっと太ってくるかもしれないし、お店で見たレースの下着はそんな大きいのは無かったはず。そうなると60歳なんて到底履ける自信がないし、70代になると今度はおばあちゃん用の縦にも横にもでっかいパンツを履くことになりそう。
そう思いながらじゃあと逆算してみると現状ではレースの下着を着る期間が発生しない。
おかしい、子供の頃に思ってたのと違う・・・。
どうしたものかと思いなんとなく10歳ほど年下の友人(女性)にその話をした。


私「なぁなぁ、レースばっかりでできた透け透けの下着あるやん。あれいつになったら履くときがくるんやろうな?」
友「ああ、どうなんでしょうね。私は肌が弱いからレースがついてると痒くなるんでなるべくやわらかい優しい素材しか着れないんですよね。肌が大丈夫ならいつ着てもいいんちゃいます?ただ〇〇さんのイメージで脱いであれ出てきたらだいぶビックリしますよ。」
私「私さぁ大人になったら女の人はみんな鈴木京香みたいに色気があふれてくると思ってて
、そしたらあの下着を着るんやと思ってずっと待っててん。でもまだ来てないねん。」
友「そんなわけないでしょ! 1学年の女子全員ああなるってことでしょ?そのほうが怖いわ。っていうか〇〇さん鈴木京香目指してたんですか?だいぶ遠いとこにいますけど(笑)
てっきり小林聡美とかあっち方向屋と思ってました。ちゃんとしてそうやけど面白い大人」
私「あ、そうか。そういう大人もいるな」
友「〇〇さんが今から鈴木京香を目指すなら相当がんばらんとダメでしょ。私もですけどそういうタイプちゃいますやん」
私「そんなに?そんなにあの感じ無いの?」
友「ないっすねー。100のうち10は確実に無いっすねー」


とここから色気ってどうやったら出るのかね~って話になっていったような・・・。
で、色気が勝手に出てこないとわかったら下着は自分のタイミングで着るしかない。
もしかしたら着ることによって色気が出るのかも・・・
ということで早速買いに行くことにした。
お店に近づいてみるとやはりそのラグジュアリー感におののいた。
こんな子供っぽい私が入って鼻で笑われないだろうか・・・、もしかしていらっしゃいませって行ったきり声かけてくれないかも・・・なんて思いつつ思い切って入ってみるとすごく普通に接客してくれた。
試着して2セット買って帰りいつを初めてつける日を楽しみにスタンバイしていた。
そして朝起きて気分がいい日に着て外出した。
その日は妙に自信を持てて堂々と過ごせた気がした。
誰に見せるでもない、自分が認識してるだけなのになんかいつもと違う。
背筋が伸びて胸を張って歩ける、そんな感覚があり大のお気に入りの下着となった。
そこからラクチン下着を捨てて何年間かは1つのブランドの下着をずっと買い続けた。
なるべく長く、たくさんこの下着を着ていたかったから。
あれから15年以上経った今はラクチン下着に戻ってしまった。
太ってきたのもあるんだろうけどレースが痒くなってきて着ていられなくなったからだ。
今は肌に優しい素材で締め付けないゆるーくふんわりしているほうがありがたい。
でもいつかまたあのゴージャスな下着を着れたらいいな。